当院が開院した昭和63年、私は小学生でした。学校が終わると、このクリニックの片隅で学校の宿題をしていました。その傍らで父が診察する姿に影響され、痛みで辛い思いをしている方の役に立ちたいと、医師を目指すことにしました。
私が整形外科医師になった理由は、老若男女、日常生活からスポーツまであらゆる状況で起こる痛みを診察することができるからです。私が大好きなスポーツをしているときも、周りで肩を脱臼する人がいれば整復しますし、ランニングでアキレス腱が痛い人がいれば、一緒に走りながら着地の様子を後ろから観察することもあります。自分自身がスポーツ中に膝の靭帯を切ったときは、その場で診断してすぐ治療しました。整形外科医師はプライベートでも仕事になる、というところが性に合っているようです。
大学卒業後に入局した東京警察病院整形外科では、一般の整形外科疾患すべての治療と手術を担当してきました。警察官が多かったため、柔道や剣道などでの怪我を診察することも多かったですし、あらゆる骨折、脱臼、靭帯損傷、膝や股関節の人工関節や脊椎の手術はすべて術者として学びました。公立昭和病院での救急救命センターでは、ほぼ毎日病院に泊まり込んで三次救急の治療を経験しました。また、船橋整形外科病院では、自分自身がスポーツをする上で興味があったアスリートの膝、足、肩、肘疾患を中心とした外来診察、リハビリテーション、関節鏡手術を勉強しました。そこで学んだ「全身の機能を診察する」という考えが、今のスタイルを作っていると思います。
2012年からは、3人の出産育児のため、手術をやめて外来に専念することにしました。千葉県鴨川市の亀田クリニックのスポーツ医学科でアスリートや慢性疼痛の治療にあたり、超音波を利用した注射や体外衝撃波治療、PRP注射、高気圧酸素療法など新しいスポーツ医療に関わってきました。また同クリニック健康管理センターでは、約10年人間ドックなどの健診を担当し、整形外科医師として他の病院にはない運動器のチェックができるオプション検査や人間ドックのコースを作りました。5000人以上の健診を担当してきたので、一般の方の採血データや内視鏡所見は理解していますし、ドックの検査内容の提案や、生活習慣病の改善の指導も可能です。
また、医療現場と並行して20年以上メディアでも活動してきました。スポーツ雑誌や新聞での医療連載、本の出版、TV・ラジオ出演では、いかに医学用語を使わずに分かりやすい言葉で伝えるかに腐心してきました。現在も細々とメディアでの発信を継続しています。
このような経験から、皆さんの痛みの状態を生活環境・診察所見・検査所見と総合的に判断して治療の提案をしていこうと思っております。当院の診療の特徴についてはこちらをご覧ください。
今後も当クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。
院長 蔵本 理枝子